住所: 〠231-8520 神奈川県横浜市中区山下町10番地
電話番号: 045-681-1841(代表)
ホテルニューグランドだけのとっておき 「わたしスタイルのLUXURY&LOHAS」
第二次世界大戦後、マッカーサ元帥は、声明文朗読の後、すぐさま乗用車に乗り込み、まっすぐホテルニューグランドを目指した。横浜を、横浜の人々を深く愛し、ホテルニューグランドを創作活動の場としていた、時代小説家の大佛次郎。横浜を舞台にした『霧笛』をはじめ『鞍馬天狗』他、数々の名作をここホテルニューグランドから生み出している。
人々に愛され続けてきたその理由を考えるとき、数えればきりがないが、敢えて一つだけ特筆するとすれば、港町特有の懐の大きさと温かさを感じさせる一流のホスピタリティだろう。それは、HOME(故郷)のような温かさでもある。時折聞こえてくる汽笛の音に異国旅情を感じつつ、クラシックホテルならではの時間のゆっくりとした流れにたゆたう、素敵な時間が、ここにはある。
「海の守り神」として織り紡いできた100年と繋いでいく100年、和魂洋才のホスピタリティ
“An unending dialogue between the present and the past(歴史とは現在と過去との絶え間ない対話である)”
E.H.カーが著した『What is history?(歴史とは何か)』の一節を、ふと思い出した。
開港文化の歴史、そして戦後日本の歴史を振り返ると、いつもそこにホテルニューグランドがあった。横浜の街に寄り添い続ける、開港文化の歴史と伝統の門番人。マッカーサー元帥が終戦の声明文朗読後、すぐに向かったのはホテルニューグランドであり、彼が宿泊した315号室は「マッカーサーズスイート」と呼ばれ、当時つかわれていたイスやライティングデスクも、そのままに使われている。横浜の歴史に寄り添い続け、2017年に開業90周年を迎えたクラシックホテル。一世紀近い歴史を蓄積しているということは、そこには多岐にわたる有名無名の人々の人生の、何気ないひとときのワンシーンを、まるで蔵書のように蓄積しているということである。クラシックホテルで過ごす「非日常性を味わう」という醍醐味の本質は、その「生きた」博物館のような息づかいに触れることにあるのかもしれない。
ニューグランドブルーの本館の大階段をゆっくりと上がっていくと、イタリア製タイルが敷き詰められた荘厳美の中にも、上質な日本の「真善美」のエスプリが感じられて心地よい。本物であることの安心感があるからなのだろう。例えば、京都西陣織では170年の歴史を紡ぐ川島織物の川島甚兵衛が製作した綴織の「天女奏楽之図」。本館ザ・ロビーに進んでいくと、天井から吊されている東洋風の伽藍の灯籠が、開化式建築の空間に優しく灯っている。まるで、神殿のような厳かさだ。
ホテルニューグランドを訪れたら、レインボールーム側の太いマホガニーの柱を背に置かれているキングスチェアの肘掛けに棲んでいる「天使」に会いに訪れてほしい。ダンス発祥の地・横浜らしく、かつては紳士・淑女の社交ダンスの会場だったレインボールームは、その後、婚礼会場として2世代、3世代に渡って愛されてきた。そんな幾重もの幸福の繋がりと祝福を、静かに見守ってきた天使の顔を撫ぜると、幸せな人生を送れるとか送れないとか。90歳の「恋のキューピッド」は、永遠の現役として今日も訪れる私たちを変わらないあどけなさで迎えてくれる。
もう一つ、ホテルニューグランドのシンボルマークである「不死鳥」も、どこにあるか見つけてみてほしい。ホテルニューグランドは、前身であるホテルグランドの焼失を経験し、戦後の焼け野原から立ち上がり、いまがある。「不死鳥」は、そんなレジリエンス(復興)を象徴しているのだという。忙しなく過ぎていく日常に疲れを覚えたら、ぜひホテルニューグランドで羽根を休めてほしい。
♥♡♥ 2020 ♥♡♥
『ホテル、ニューグランド』の「ローズのおもてなしの一品」
ピュアローズ(Pure Rose)
真のホスピタリティとは何かを教えてくれる場所
ホテルニューグランドは、日本における「ホテル発祥」の系譜だけでなく、日本における「西洋の食文化発祥」の系譜において、歴史的に幾つもの重要なストーリーを紡いでいる。そのストーリーの一片をみるのは、いつも宝箱を開けるようなワクワク感がある。そして驚くべきことに、ホテルニューグランドのストーリーは、いつも一流のホスピタリティが物語の始まりとなっている。「スイス・パパ」の愛称で慕われた初代総料理長のサリー・ワイル氏が「ドリア」を日本で初めて創作した背景にも、お客様のことをいつも一番に想う “こころ”があった。
ちなみに、ナポリタン、プリンアラモードもホテルニューグランドが発祥だという。これは、子どもの頃、大好きなメニューだっただけに嬉しい発見。伝統と王道を大切にしながらも、その顧客視点をベースとした創意工夫をあきらめないイノベーターのDNAが、ホテルニューグランドが何世代に渡って愛される理由なのかもしれない。レシピと味が当時のまま、いまでもレストランで引き継がれているということも大きいだろう。
正真正銘の バー 『シーガーディアンⅡ』
「そのバーは、実は客船のバーをイメージしたものなんです。」
おもむろにカウンターに座るやいなや上質な触り心地が安心感を与えてくれる皮にくるまれたバーの感触を楽しんでいた私の手を、ホテルニューグランドのバー『シーガーディアン II』のチーフバーテンダーの太田さんは素早く目に留め、静かに話してくれた。開業当時の横浜港に入港する客船の多くにはバーが設けられており、『シーガーディアン』はこの客船のバーをモデルとしているそうだ。
港に一番近いバーであるということから、客船のバーの技術を多く引き継いでいた。つまり、バーの発祥は船乗りにあり、開港文化が花咲いた横浜にある、ということだ。そういえば昔、とある紳士が「バーがあるところが、本物のバーなのですよ」と教えてくれたことがあった。その言葉の意味が、いま、ようやくわかった。
とっておきの恋の魔法
恋を叶えたい人は、ホテルニューグランドに棲む天使にあやかった後で、『シーガーディアンⅡ』でカクテル「ピュアローズ」をいただくと、なにか良いことがあるかもしれない。そして、大切な人と訪れれば、もっともっと2人で幸せになれるかもしれない。そして、パートナーがいる場合は、バラの花を1本、さりげなく渡すことができると、想い出深い一日が過ごせるかもしれない。
「ピュアローズ」は、白い花の要素をもつ白ワインはシャルドネ種をベースとしたカクテルで、エルダーフラワーのリキュールとクランベリージュースでつくられている。その創作の仕上げとして、グレース・ケリーのような往年の女優が似合いそうなクラシカルな香水を想起させるアトマイザーで、ブルガリアンローズウォーターをシュッと優しく吹きかけることで、その世界観は完成する。
お客様を想う ”真ごころ”、新しい扉を開く “遊びごころ”
シーガーディアンといえば、王道のスタンダードカクテルであるマティーニやヨコハマ、バンブーが有名なオーセンティック・バー。クラシックカクテルの歴史は100年以上あるといわれ、バーは、かつて紳士の社交場だった。その伝統をとても大切にしているバーである。そんな印象のあるバーだけに、レディライクなカクテルの創作があるのは、素敵なギャップだった。
そこにはもうすぐ100周年を迎え、新しい時代に繋いでいく、いま、このとき、紳士の専売特許だったバーを、もっと淑女にも開放したいとの太田さんの想いがあった。さすが開港文化きっての華やかりしホテル、そのホテルマンシップも世界に誇る一流の感覚がキラリと光る。「仕事ができるということは、クルマのハンドルと同じで、遊びがあるということ」とはよくいったもので、スタンダードを極めているからこそ、応用がきくのだろう。正に、守破離。
有名無名のお客様ひとりひとりへの愛情が今昔物語として継がれる、無数のストーリー
バーの醍醐味は、バーテンダーの方との会話にあると思う。
ここはぜひ何かひとつ、シーガーディアンならではのストーリーを教えてほしいとお願いしたところ・・・なんと約一世紀を経てシーガーディアンに伝わる「上海ダイス」をご披露いただく機会に恵まれた。サイコロは象牙でできていて、なんというか、とても異国の風を感じる。けれども、上質な厚みのある革のダイスカップは、元町の靴屋さんにお願いして創ったものであるというあたりに、なんとなく横浜港町の地元の温かみを感じる。この上海ダイス、オール「1」が出たら、みんなに奢るというルールがあるのだとか。なんとも粋な大人の遊びである。革のカップの底には、オール「1」を出した紳士の名前が記載されて残っていた。
横浜を愛した文豪・大佛次郎の「秘密基地」
「仕事をするにもハマでないと気分がのらず」といってホテルニューグランドの318号室に籠って執筆活動を続け、『霧笛』や『鞍馬天狗』等の名作を世に残し、昭和48年、彼の遺体が東京の病院から鎌倉・雪の下の自宅へ帰る際、車はホテルニューグランドを経由して、彼が愛した港とイチョウ並木とホテルの従業員達に最後の別れを告げていったとの逸話が残るほど、ホテルニューグランドを愛した大佛次郎。執筆中も夕方になると、よくシーガーディアンに現われたという。
その創作の源泉は、バーテンダーの方との会話やクリエイティビティもあったのではあるまいか。
いまも残る、かの有名なシーガーディアンで寛ぐ彼の手にあるのは「グラス」ではなく「ダイスカップ」だった。
一流の大人が集まる「秘密基地」には、きっと、いつも、どこにでも「創発」と「共創」がある。
【ご予約につきまして】
◆ 「バー」のご利用については、「バー」のご予約は承ることができかねます。
※ 足をお運びいただく際は、事前にお店に混雑状況をご確認いただくと安心です。
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